とさでいず

愛車DJデミオのカーライフを中心に自転車、バイク、高知のおすすめスポット、写真についてなど色々と書いています

飛騨・白川郷ツーリング -2-

迂回路から471号線に合流し
少し走ると奥飛騨温泉郷に至る。

看板の表示されていた「高原川オートキャンプ場」の入り口に
オートバイを止めて受付まで歩く。
まだ4時過ぎだというのに「夜間の受付は宿の方まで」と書かれていた。
宿まで歩きフロントでキャンプ受付の確認を行なってみたのだが
「本日はキャンプ場は休業している。」とのこと。
マップルnetで見た情報では営業期間「4月下旬~10月中旬 期間中無休」とあったが・・・。

地図を確認し、少し川上に記載されていた合掌の森中尾キャンプ場も
調べてみたがこちらは7月中旬からの営業らしい。


仕方がない。
もう少し走って泊まれそうな場所を調べてみるにしても
農村や山岳区間のガソリンスタンドの営業時間は短い。

とりあえず、温泉郷の中心地にあるスタンドに立ち寄って
ついでにキャンプ場情報を収集してみた。
「GWはどちらのキャンプ場も営業していたと思う。
今は連休明けだから暇なはず。」
という返答があった。

最近のオートキャンパーは大型の4WDやキャンピングカーで
TVやDVD、PCなどの電化製品をたくさん持ち込み
自宅と変わらないような生活を野外で楽しむスタイルが多い。

キャンプ場とはいえAC電源の提供や火気の使用があり
場内管理の責任などがある以上は他の客もいない状態で
予約なしのイレギュラーな客を受け入れることは難しいという事なのだろう。

そういうことなら書店に並んでいるキャンプ場ガイドなどを見ても
入場料1000円、テント1区画使用2000~3000円、
駐車料金500円なんて
温泉付きの民宿に素泊まりした方が安いような
キャンプ場が多いのも頷ける。

まあ、個人的にはキャンプなんて
飲料水の確保とそこそこ綺麗なトイレがついていれば、
AC電源なんて必要ないと思うのだが。

キャンプとはいえ一般的には野宿ではなく「お金を払ってアウトドアを楽しむレジャー」。
どちらにせよ、あらかじめ予約をして行動を規制する旅のスタイルを嫌う
私自信がこの時世から外れているのだろう。

やはり北海道のキャンプ場とは考え方が違うのか・・・。
そう思いながらガソリンスタンドを出発した。

キャンプ場を経営している宿の受付や
ガソリンスタンドで聞いた情報によると
近くの「道の駅」にもオートキャンプ場が併設されていて、
料金は多少高くなるが温泉つきらしい。

向かってはみたが、
受付は午後5時までとなっているようで、
道の駅に到着したときには5時を10分ほど過ぎていた為に
キャンプ場の入り口は鉄のゲートで閉鎖されていた。

周囲を見回しても、お土産売り場や喫茶店も閉店している。
念のために管理事務所に電話してみたのだが
虚しくコール音が携帯のスピーカーから流れるのみ。


諦めて民宿に泊まる手もあるが、
「今日は宿に泊まらない」という気持ちが固まり
半ば意地になってきていたので
キャンプ場やキャンプできそうな場所を探しながら
471号線を高山方面へを走る。

ポイントは他人に迷惑をかけない(人目につかない)場所。
就寝時にオートバイと自分自身に危険が少ない場所の2点だ。

国道脇にはチェーン脱着用の駐車スペースや駐車場がいくつかあり
テントを張るくらいなら可能な場所もある。
しかし、国道はトラックなどの交通量が多く。
就寝中に轢き潰されてはどうにもならない。

河原の方に下りていく事ができそうな側道ダートも幾つか見つけた。
オフロードタイプの車両なら楽に入って行けそうだが
大きな石も多くハーレーで入るのは少々厳しいかもしれない。
それでも、何とか使えそうなポイントを
いくつか頭の中に記憶しながら走った。

太陽は山の影に隠れてしまった。
もうすぐ闇が訪れるだろう。

午後7時。
泊まる場所は走りながら考えるとして
とりあえず食事を取っておこうと
近くの道の駅に入り、食堂でカツ丼を注文した。

「食事処=情報収集がしやすい」ということは経験から分かっていたので
注文時にキャンプできそうな場所の情報を聞いてみた。

食事を取っている間に女性の店員さんが
どこかに電話をしてくれている。

「直接話してみてください」言われ受話器を受け取ると
電話口のOさんという男性が「今は近くの温泉施設で働いているので、
職場まで来ればテントを張れそうな場所を教えてくれる」という。

店員さんが彼の働いている場所までの地図と電話番号を書いてくれた。
すっかり日も暮れていたので、食事を終えて礼を言ったらすぐに出発する。

そこは冬季はスキー場でオフシーズンは
オートキャンプ場を併設した温泉施設となっているようだ。
国道から少し坂を上った場所にある建物の前にバイクを止めると
電話で話した男性が迎えに出てきてくれた。

挨拶を済ませて名刺を受け取ると
Oさんはこの施設の支配人を勤めている方だった。
なんでもUターンして飛騨に住んでいるが
昔は自転車に乗って全国を回った経験があるとの事で、
旅の先輩ということで声をかけてくれたのだった。
温泉施設のロビー脇にあるソファで少し旅の話を伺った。

せっかくなので、温泉に入ってくればよいという話になり
お言葉に甘えて頂戴する事にした。


久々に長距離を走った疲れも
のんびりと温泉につかっていると楽になっていく。

午後9時前。
湯から上がり、Oさんに挨拶すると
建物の前にある駐車場はマズイが
奥の駐車場の隅ならテントを張っても問題ないと言ってくれたので
お礼を言ってオートバイを駐車場に移動する。

従業員の方のクルマが数台は止めてあるとはいえ
かなり大きな駐車場である。
路面は舗装されているのでペグダウンは難しい。

正確にはスチール鍛造ぺグのソリッドステークを持っているので
アスファルト面でも割と楽に貫いてペグダウン可能だが
厚意でテントを張らせていただいたのに
舗装に穴を開けて帰るのは義に反する事だろう。


イメージ 2

そこで、駐車場の一番奥にある角部分なら
2辺が土になっておりペグダウンできそうなので
そこで設営を始めた。

とりあえず、2辺をペグダウンして
もう1辺はオートバイのアンダーフレームに縛る。

これで簡単にテントが飛ばされる事もないだろう。
駐車場には大きな照明が備え付けられており
複数台が点灯されていたのでかなり明るい。
しばらく駐車場内を歩いてみたり
国道を見下ろしたりしていると
場内からクルマが1台もいなくなった。


イメージ 1
ゆっくりとテントに入り、
持ってきたウイスキーをスキッドボトルから一口だけ含むと。
シュラフに包まって文庫を読んだり
友人とメールをしていた。

11時ごろにタイマーがセットされていたのか
駐車場の照明が消えて辺りは真っ暗になった。
持っていたLEDライトで位置を確認しながら
シュラフのファスナーを閉じて目を閉じる。

どこからかカエルの鳴き声と
水の流れる音が聞こえる。
時折、国道を走る大型トラックの音が響く。


眠り際に夢を見た。
どこかの道を独り走っている夢だった。