とさでいず

愛車DJデミオのカーライフを中心に自転車、バイク、高知のおすすめスポット、写真についてなど色々と書いています

冬の香り

日曜日、午後からは弟と食事をして
その後はマッタリ過ごす予定だったのだが
1時30分程度に戻ってくる予定の弟が
2時を過ぎても連絡がないので
「ちょっと出かけてくる」とメールを送信すると
暇つぶしに883でディーラーに
遊びに行ってみることにした。

途中で銀行のATMとコンビニに立ち寄り、
昼食代わりに肉まんと缶コーヒーを買って
883のシートに腰掛けて食べた。


イメージ 1


街路樹は色付き
風が吹くと数枚の木の葉が
宙を流れていく


近くの路上ではイチョウ祭りが開かれていて
家族連れや大切な人と
寄り添い歩く恋人たちの姿が何度も視界を横切って行った。







そういえば、独り暮らしをはじめてから5年。
この季節に大切な誰かと過ごした想い出は
一度もなかったような気がする。

澄み切った空と色付く木々の中で
自分らしくないほど、感傷的な気分になった。

どうも最近、精神的に疲れているのか
弱気になってしまう自分がいる。

まあ、心は揺らぎ続け
時には沈むものだろう。
それ自体は大した問題ではない。


イメージ 2

そろそろ走り出そうとエンジンを始動し、シート横に掛けてあったヘルメットに目をやると
桜の葉が一枚グローブに包まれるように入っていた。

こいつも走りたいのかな?

ふと、そんなことを思って
葉をリアシートのベルトに挟むと883を走らせた。





ディーラーに到着してリアシートを見ると
満足したのか桜の葉はどこかで途中下車したらしい。

店内のテーブルには
ツーリング帰りの常連客が数人集まって
コーヒーを飲んでいた。

軽く店内を物色した後で輪に加わる。
奥多摩は紅葉がピークで観光客が多いなどのツーリングの話。
最近の愛車の調子の話。
それぞれ思い思いにバイク談義に花を咲かせながら
ゆっくりと時間が過ぎて行く。

少し話が途切れたので、
店頭に並んでいる試乗車や
常連さんの愛車たちを眺めていたとき
携帯が鳴った。
弟とブログ仲間の一人からメールが届いていた。

弟は夕食の相談。
ブログ仲間からは「いかがお過ごしですか?」
といった内容だった。
急に現実に戻されたような気分がして可笑しくなり、
不覚にも少し笑ってしまった。

簡単な返事を送信し
店内でもう少しの間、バイクの話で盛り上がる。

気が付くと時計は6時を回り
外はすっかり暗くなっている。

皆に簡単な挨拶を済ませてジャケット着ると883に跨る。

暖気中の少し硬質なエンジンの振動に身をゆだねながら
クラッチを繋いで軽くスロットルを開くと
不思議と憂鬱な気分はどこかに消えている。

走り出すと
もう、風は冷たく
深い呼吸をすると鼻の奥が少し痛くなる。
冬は、もうすぐそこまで来ていると実感した。